ちょっちアスカちゃん、その8
「たっだいま〜〜〜」
葛城家の玄関にアスカの元気が良い声が響く、靴を脱ぐ時見なれない1足の靴を見つけた。
「?誰か来ているのかしら・・・・むっこれは!」
2人の同居人の靴ではないらしい。靴を見て数十秒後、片眉がつりあがった。
「この見覚えのある質素な靴は・・・・」
ダッダッダッダ!
靴を脱ぎっぱなしにすると廊下をドタバタと走りぬけリビングへ向かった。
「やっぱり、ファースト・・・・ってアンタ何をしてんのよ?」
靴の持ち主はレイであった。アスカはレイの姿を見て何をしているのかわからなかった。
「お帰りなさいアスカ、お掃除しているの」
レイは三角巾をかぶり、ハタキをパタパタと動かしていた。部屋の隅に何もする事がないシンジとミサトが仲良く座っていた。(ちょっちレイちゃん、その8)
「それはわかるけど、どうしてアンタがアタシの家の掃除をしているのよ?」
アスカの家ではない、ミサト所有であるがほぼシンジが仕切っている。
「お家を綺麗にするのが妻の役目なの・・・・ぽっ」
シンジを見つめて頬を染める。
「妻って何よ?シンジ!アンタ」
「ご、誤解しないでよ、綾波が勝手に」
「プロポーズしてくれたの」
「シンジ!」
「ぐ、苦しい〜〜」
レイの言葉にアスカは怒りで興奮しシンジの首を力いっぱい締め付ける。シンジは泡を吹いて昇天間近だ。
「正妻と愛人の三角関係ってとこかしら」
ミサトには三人の構図がこのように見えたらしい。
「誰が愛人よ!」
「私はアスカを愛人っていってないわよ、正妻が良かったの?」
「五月蝿い!」
ケラケラとお腹を抱えて笑うミサトにアスカは蹴りを飛ばすが、まだシンジの首を締めていたので正確に狙えずに避けられてしまった。
「アスカ駄目、お父さんに暴力を振るったら」
「お父さん?」
「ぐえっ」
アスカは思わず首を離した、レイが普段使わない言葉を言ったので驚いた。
「そう、碇クンはアスカのお父さん、アスカは私の娘なの。私の事をお母さんって呼ばないと駄目」
「何よそれ?ふざけてんの」
「アスカ、お部屋のお掃除はしたの?」
「人の話聞け〜〜〜〜!」
怒るアスカに対してレイは冷静に話しを進める、2人のかみ合わない会話にミサトとシンジは呆れ顔である。
「レイってマイペースよね」
「そうですね」
「お部屋をお掃除しないとおやつはあげません」
「いらないわよ!」
すっかり母親なレイ、怒るアスカは反抗期の娘のようだ。
「アスカ、今日はプリンだよ」
「えっ!?」
シンジの口から出た言葉、今日は大好物のプリンである。だが部屋を掃除しない事には食べる事が出来ない。
「アスカ、お掃除」
「しなくても綺麗なの!アタシの部屋なんだから綺麗なのよ」
確かにアスカの部屋は綺麗であった、シンジが掃除をしているのだから。
「そう、綺麗なのミサトお義母様のお部屋をお掃除して」
「「「ミサトお義母様???」」」
三人は口を揃えて叫んだ。シンジの一応の保護者であるミサトを義母に設定しているようである。
「お義母様って私はそんな歳かい!」
思わずレイに突っ込むミサト、だが反応は返ってこない。
「お掃除したらおやつにしましょう」
「どうしてアタシがミサトの部屋を掃除しなくちゃいけないのよ!」
当然嫌がる、ミサトの部屋は掃除をしても次の日には汚れるのでシンジは週に1回しかしていない。
「お掃除」
「うっ!わかったわよ」
ジ〜と紅い瞳で見つめられては何も言い返せない、仕方なく首を縦に振った。
「・・・・・はあ〜〜〜」
ミサトの部屋、辺り一面見まわしたアスカは溜息をついた、その汚さに。
「こんなの今日中に掃除できるわけないじゃない、ったくファーストはどうして天然なのかしら」
足元に落ちてあった辞書らしき分厚い本を拾うと、本棚に戻そうとしたら・・・・・
ドサドサドサドサ!!!
「きゃ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「アスカ!どうしたの?」
アスカの叫びを聞いてシンジが飛びこんできた、そこで見たのは・・・
「あれ?アスカ?」
アスカの姿が無く部屋を見まわすシンジ、ごく普通のミサトの部屋からアスカが消えていた。
「おかしいな〜声が聞こえたんだけど」
首を傾げリビングに戻った。そのアスカは・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・」
本の下で気絶しており、気がつく夕食まで皆『アスカは逃げた』と思ったのであった。
レイちゃんの続きになってしまった(^^;)
素直にレイお母さんの従う娘アスカちゃん、ちょっとへっぽこ。
ミサトさん(ピ〜〜)歳にしてお義母様(笑)
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION ちょっちアスカちゃん、その8